司法書士の加陽麻里布です。
本日は株式上場と会社法の大会社の関係について記載したいと思います。
毎年100社近くが株式上場を実現しています。
最近では、上場準備の過程で資金を調達する会社が多いです。
VCやCVC、取引先など調達先は様々と思います。
中には何十億、何百億と調達する会社もあるでしょう。
そこで気になるのは『資本金』の金額です。
資金調達につれて資本金がどんどん上がっていきます。
皆さんは資本金をどうしているのでしょうか?
まず、資本金が1億円を超えてくると税法上の中小企業ではなくなり、税制でのメリットが享受できなくなってきます。ただし、会社の機関設計上は大きくは変わってきません。
次に、資本金が5億円を超えると会社法上の大会社になります。
会社法の大会社になると会社の機関設計上も大きな影響があります。
具体的には監査役会や会計監査人を設置する必要があります。
これらは上場準備上はいずれは設置する必要があります。
監査役会は直前期の期首、会計監査人は上場時というケースが多いようです。
必要以上に早い時期から機関設計を変更するとコストがかさんでしまうため、これらの設置時期を実務上はうまくコントロールする必要があると言えます。
そこで、多く利用されるのが「減資」です。
減資をすることにより大会社になる時期をうまく調整することが可能となります。
会社法第2条6によると、大会社は
(1)最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上であること、または、(2)最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上
となります。
上記の定義を見ると期中ではなく事業年度末の資本金の金額が重要になります。
そのため、期中に増資を行っても、期中の間に減資を実施すれば大会社にはならないことになります。
ただし、減資は思い立ったらすぐできるというものではありません。
減資には債権者保護手続きなど一定の時間を要します。
きちんとスケジューリングを建てなければうっかり、大会社になってしまうということもあります。
大会社になることにより、より内部統制が強固な組織を作ることもできますが、まだ、大会社になることは回避したいという会社は、専門家である司法書士にしっかり相談し、スケジュールを確認することが大事だといえるでしょう。
永田町司法書士事務所
加陽麻里布