司法書士の加陽麻里布です。
先日、最高裁でアルバイトに賞与不要との判決が出たいうことで大きなニュースになりました。
記事によると、高裁で認められた正職員の60%の金額である109万円の賠償命令を最高裁が覆したとのことです。
同一労働同一賃金の流れの中でこちらの報道が多きく取り上げられ、「不当判決」という言葉が独り歩きしているように思います。
少し気になったので判決文を見てみました(長い!)。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/767/089767_hanrei.pdf
ここから少し説明しますと、今回の裁判は賞与だけでなく私傷病欠勤補償についても争われています。その他の夏季休暇などは原告の主張が認められています。
原告の女性は適応障害として診断され、退職までの1年ほど欠勤していたとのことです。その間に有給休暇も使用しているそうです。
大学で正職員の傷病欠勤についての保証の規定がありましたが、アルバイトにはありませんでした。大学の正職員は誰もが簡単になれるものではなく、学歴や経歴んどを斟酌して決定されるものであり、ハードルは高いでしょう。
この点、正職員をある程度優遇することは長く働いてもらう観点や、原告が勤務開始後2年で傷病に落ちいたことなども考慮され、不合理な格差とまでは言えないとされています。
また、仕事内容についても、正職員は部門横断的な仕事や、病理解剖に関する遺族の対応、劇薬の管理などアルバイトとは違う仕事を行っていることや配置転換の観点からも
正職員とアルバイトとの差は不合理ではないとされました。判決文ではアルバイトの業務が相当に軽易と表現されていましたね。
なお、アルバイトからの正職員への登用の制度もあったと言ことでした。
さて、判決文を読むと、事の経緯が本当に細かく記載されており、なかなかまとめきれません。
やはり、同一労働同一賃金といっても、個別の事情は大きいと思いますので、一概に決めることは難しいと思います。
一方で報道だけでは、単純にアルバイトにボーナスは払われないのか!と言ったイメージになってしまいます。
もちろん、すべてを報道することは難しいので、興味を持たれた人は自分で調べる必要はあると思いますので問題提起とさせていただければと思います。
今回の判決はみなさまにはどの様に映りましたでしょうか?
あさなぎ司法書士事務所
かようまりの